素材の環境負荷ランキング
素材を生産する工程から商品として私達のもとに届くまで、沢山の工程があります。
糸を染めたり、プリントの工程では大量の水の消費、化学薬品の仕様による水質汚染、縫製では機械を動かすエネルギーを投入しなければいけませんし、全ての過程でそれぞれ異なるタイプの環境負荷が発生しま
それらの内いちばん環境負荷が大きい工程が素材の生産です。そして最終的な「環境へのインパクトの大きさ」へ影響を与えるのも「どの素材か?」によるのです。
どの素材をどの様に使うかが、環境に優しい洋服かどうかの分かれ目と言われています。
素材別環境負荷ランキング
Global Fashion Agenda & Boston Consulting Groupが2017年に発表した報告書「PULSE OF THE FASHION INDUSTRY」によると素材別環境負荷のランキングは次のようになります
(注釈1)
- 牛革
- シルク
- コットン
- 麻など
- ウール
- 合皮
- ナイロン
- モダール
- ビスコース・レーヨン
- アクリル
- エラステーン(伸縮性ポリウレタン)
- リヨセル
- ポリエステル
天然繊維より化学繊維のほうが環境負荷が大きいという驚きの結果が…
イメージ的には石油系の繊維よりも天然繊維のほうが環境に優しいイメージがありますよね。
ところがポリエステルのほうがコットンに比べて環境負荷が少ないです。
じゃあ天然繊維より化学繊維を選ぶべきなのでしょうか?
実際に、「普通のコットン製品を買い、数回着ただけで、リサイクルせずにゴミ箱にポイ…」ではポリエステル製品に比べ環境に与えるダメージは大きいです。
ですが、ランキングはあくまでも素材生産に生じる環境へのインパクトをスコア化したもので、製造段階、購入後の洗濯などのメンテナンスで発生する環境負荷、破棄される段階までのことは反映されていません。
例えば購入後に洗濯する際に使用する水の消費、洗剤による水質汚染、洗濯機を動かす動力などの環境にダメージを与えるのは天然繊維も化学繊維も同じです。
しかしポリエステル、ナイロン、アクリルなどはプラスチィック繊維とも言われ、洗濯のたびにマイクロプラスチックが流れ出てしまい、今の所解決策がない状態。
SDGsの「目標14.海の豊かさを守ろう」で問題視されています。
リサイクルのしやすさも素材により変わります。コットンはウエスとして利用できますし、ウールも反毛というワタの状態にもどして再利用する方法などリサイクルしやすいですが、化学繊維はウエスとして利用はできずケミカルリサイクルはまだまだ定着しておらず…という状態です。(リサイクルについて後日投稿しますね!)
コットンはランキングで3位ですが、一般的なコットンに比べて環境負荷が40%程度のオーガニックコットンもあるそうです。40%程度というとポリエステルと同じくらいの環境負荷になり、リサイクルのしやすさや、洗濯のたびに流れ出すマイクロプラスチィックの問題がない分環境に優しい素材です。
アイテム別にどの素材が良いのか、購入したアイテムのお手入れ方法など考えることが必要かもしれません。
例えば水でじゃぶじゃぶ洗濯しないような鞄などはマイクロプラスチィックの問題がすくないので、合皮の鞄のほうが環境負荷は少ないと思いますし、ウールは消臭作用や汚れにくいという特性があるので、セーターなどの製品は「ウール素材のものを選び洗濯回数を減らす」などが環境により優しい選択だと思います。
そしてこのランキングの掲載されたレポートでも「オーガニック素材」「リサイクル繊維」「再生繊維」「BCI」「テンセル」などのより環境へのインパクトが少ない繊維を勧めています。「環境負荷の少ない」「持続可能性の高い」繊維の普及がファッション業界としての責任と謳っています。
注釈
- このランキングはSustainable Apparel Coalitionが 提供する環境負荷を測定するHigg MSI TOOLによって算出されています。素材の生産にかかる環境負荷のみを対象にしており、つまり素材の製造のはじめから、製品に組み立てる前段階の素材として完成された状態になるまでに発生した環境負荷を算出した結果です。このランキングは「化学的影響」「化石燃料」「富栄養化」「地球温暖化」「水不足」それぞれ4つの分野から環境に与えるインパクトをスコア化して作られています。
出典・参考
Global Fashion Agenda & Boston Consulting Group
「PULSE OF THE FASHION INDUSTRY」2017年
Sustainable Apparel Coalition (SAC)
中村和代・藤田さつき著「大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実」光文社、
2019年4月16日
